性感染症の中で最も感染率が高いのが性器クラミジアで、次いで淋菌となっています。
これら1位・2位の性感染症の原因は細菌によるものです。
3位は性器ヘルペスウイルス感染症、4位は尖形コンジローマとなっており、これらの性感染症の原因はウイルスによるものです。
中でも4位の尖形コンジローマは、ヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスに感染することで発症します。

ヒトパピローマウイルスによる感染症で広く知られているものに子宮頸がんがありますが、尖圭コンジローマを発症すると子宮頸がんになる可能性はあるのでしょうか。
ここでは、尖圭コンジローマについて、その症状や治療方法を学んで、正しい知識を持ってパートナーと接するように心掛けましょう。

尖圭コンジローマの症状とは?

ベッドのカップル

尖形コンジローマは、ヒトパピローマウイルスに感染することで発症する性感染症です。
このヒトパピローマウイルスは現在分かっているだけでも150種類ほどのウイルス型が存在しており、尖形コンジローマはその中の6型と11型が原因で発症します。

主に、性行為によって感染する尖形コンジローマですが、性交渉以外にも性器と口、性器と肛門での性行為によっても感染します。
また、性行為の他に皮膚や粘膜に傷ができることで、そこからヒトパピローマウイルスが侵入して発症することもあります。

尖圭コンジローマの患者数

厚生労働省の調査によると、平成28年における尖形コンジローマの患者総数は5370人で、過去3年間はほぼ横ばいの数値となっています。
また、男女別の患者数としては、男性が3662人、女性が2068人となっており、男性の方が多少多くなっていますがそれほどの大差はありません。
これは、男女のどちらかに尖形コンジローマの症状が出た場合、同時にパートナーも感染してしまうことが多いからです。
特に、症状の出る確率が高い年齢は10代後半~30代前半で、頻繁に性行為を行う年齢層と比例しています。

ヒトパピローマウイルスには良性型と悪性型がある

ヒトパピローマウイルスに感染すると、数週間~8ヶ月程度(一般的には1ヶ月~2ヶ月程度)の潜伏期間を経て、性器やその周辺にイボの症状ができます。
ヒトパピローマウイルスには良性型と悪性型の2種類があり、尖形コンジローマの症状は良性型です。
悪性型には16型・18型があり、これらに感染すると、男性は陰茎がん、女性は子宮頸がんの症状が起こる可能性が高くなります。
ただし、16型・18型に感染しても必ず発症するわけではありません。

尖圭コンジローマの目に見えて現れる症状

男性は亀頭、包皮、陰嚢、尿道口、肛門周辺などに症状が出ることが多く、女性は膣の入り口、大・小陰唇、子宮頸部、肛門周辺などに症状が出やすいです。

尖形コンジローマの症状は以下のような形状が見られます。
  • イボの先が尖った乳頭状
  • 鶏のトサカ状
  • カリフラワー状

感染者によって形状は様々です。
尖形コンジローマの症状が出ても、軽い痛みやかゆみが起こる場合もありますが、男女共にほとんど自覚症状がありません
そのため、気が付いたときには乳頭状やトサカ状のイボができているケースが多いです。
また、乳頭状・トサカ状の症状が進行すると、イボ自体が成長して大きくなり数も増えてしまいます。

尖形コンジローマの治療方法

尖形コンジローマの治療方法は、主に手術などの外科的治療と、治療薬を使用した薬物治療の2種類があり、多くの場合で外科的治療が用いられます。
外科的治療では、外科的切除術、電気焼灼術、凍結療法、レーザー蒸散術などがあります。
薬物療法では、軟膏を使った外用治療薬を使用します。
主に使用されるのは、ベセルナクリーム5%、ポドフィリン液、5FU軟膏、ブレオマイシン軟膏などがあります。

自然治癒は難しく再発することが多い

自覚症状がほとんど無く、自然治癒することもあり放置してしまいがちですが、感染力の高さからパートナーへうつしてしまう可能性が高いため治療を行うことが大切です。
しかし、外科的手術を用いて乳頭状・トサカ状のイボを切除しても、性器の内部にできた症状は、完全に取り切ることは難しいのが現状です。
そのため、治療終了後3ヶ月以内に25%の確率で症状が再発します。

ベセルナクリームという治療薬が開発された

最近までは外科的手術による切除術が主流となっていました。
2007年12月に尖形コンジローマ専用の治療薬である「ベセルナクリーム」が発売されたことで、より人体への負担が少ない治療薬を使用した薬物療法を用いる医療機関が増えてきました。

ベセルナクリームは日本初の尖形コンジローマ治療薬であり、人間の免疫力を活性化することで乳頭状・トサカ状のイボを消失させる治療薬です。
主成分は「イミキモド」と呼ばれる成分です。
最近では、ベルセナクリームのジェネリック医薬品であるイミキアドクリームも登場しています。
この治療薬も主成分にイミキモドを使用しており、ベセルナクリームと同等の効果・効能が得られます。

治療薬のベセルナクリームの使い方について

手のひらのクリーム

尖形コンジローマの治療薬である「ベセルナクリーム」は、主成分のイミキモドが5%配合された外用治療薬です。
再発率の高い尖圭コンジローマですが、ベセルナクリームを使用することによって、60%以上という高い確率で尖形コンジローマの症状を改善させることができます。

外用治療薬であるベセルナクリームを症状が出ている部分に直接塗るだけで効果があります。
主成分であるイミキモドが、サイトカイン(免疫システムを持つ細胞から分泌される、免疫・炎症に関わるタンパク質)の産生を促進させ、ウイルスの増殖を抑制します。
更に、細胞レベルの免疫応答の活性化によってウイルス感染細胞に障害を与える作用もあります。
この2つの作用を、患者の持つウイルス感染防御機構を利用して、イボの症状を徐々に縮小させ、最終的に消失させることができます。

臨床実験でも実力は証明済み

ベセルナクリームの主成分であるイミキモドの、尖形コンジローマにおける高い症状改善効果は、尖形コンジローマ患者への臨床試験でも証明されています。
臨床試験では、55人の患者に対してベセルナクリームを症状の出ている部分に塗布したところ、35人の症状を完全消失させることができました。
その確率は約64%と高い治癒率となっています。

具体的な使用方法の流れ

ベセルナクリームの使い方としては、1日に1回、週に3回の頻度で適量を症状の出ている部分に直接塗布します。
週3回の使い方としては、例えば月・水・金または、火・木・土の1日おきの使い方が有効です。
塗るタイミングは就寝前で、塗った後はそのままの状態を維持させ、起床したら石けんで症状部分を洗い流します。

  1. ベセルナクリームの包みを開け、指先に治療薬をのせます。
  2. 治療薬を症状の出ている部分に薄く塗ります。症状が出ている部分が見えにくい場所のときは、手鏡で確認しながら塗りましょう。
  3. クリームの色が消えるまで、やさしく塗り込みます。
  4. 治療薬を塗った後は、必ず手から指先を石けんできれいに洗います。手にヒトパピローマウイルスが付着していると、指などにイボができる場合があります。
  5. 塗布した患部はそのままの状態で6時間~10時間維持させます。

ベセルナクリームの使用前後

尖形コンジローマが膣の入り口や尿道の入り口に症状が出た場合、治療薬を塗ったことで腫れや痛みなどの副作用が出て、排尿が困難になることがあります。
就寝前に塗布すれば、6時間~10時間の睡眠時間を経て起床することができ、睡眠中は患部をそのままの状態で維持させることができます。
もし、塗り忘れてしまった場合には次の日に塗りますが、その際も就寝前に使用します。

起床後には、治療薬を石けんで洗い流す必要があります。
特に男性の場合は、包皮内に尖形コンジローマが出ている場合には毎回包皮をめくり上げて内部もきれいに洗うようにしましょう。

ベセルナクリームに即効性はない

ベセルナクリームには即効性はないため、正しい使い方を守って数日程度使用し続ける必要があります。
また、効果が実感できるタイミングにおいても、尖形コンジローマの進行状態によっても違いがあります。
そのため、「正しい使い方をしているのに効果が出ない」と、途中で止めてしまうことは避けましょう。
せっかく、尖形コンジローマが小さくなっていたのに、治療薬を止めたことでまた大きくなり増えてしまう可能性があります。

ウイルスは死滅させられない

ベセルナクリームが持つ効果は、あくまでも尖形コンジローマのイボを消失させることです。
従って、尖形コンジローマの原因であるヒトパピローマウイルスを、完全に死滅させることはできません。
クラミジアや淋病などの原因である細菌であれば、ジスロマックなどの抗生物質を使用することで細菌を死滅させることができます。
治療薬でクラミジアは治ることはあっても、尖形コンジローマのような原因がウイルスである場合、抗生物質を使用してもウイルスには効かず、死滅させることはできません。

ベセルナクリームの使用上の注意や副作用とは

NO!と訴える医師

ベルセナクリームの使い方で注意したい点はいくつかあります。
使い方を間違えると何らかの副作用が出たり、頻繁に再発を繰り返すことにもなりかねません。
そのため、注意点を守りながら正しい使い方で治療していくことが大切です。

塗布するのは1日1回・週3回の頻度
週3回(月・水・金や火・木・土などの1日おき)で1日に1回を目途として塗布します。
即効性が無いからと言って頻繁に塗っても、その効果は変わりません。
4週間~16週間使用し続けることで効果が出てきます。
また、16週間が使用限度となっています。
塗布後10時間以内に洗い落とす必要がある
就寝前に塗り、起床したら石けんを使って患部をきれいに洗い流す必要があります。
起床後に洗い流し忘れて10時間以上経過すると、効果が出なくなるほか、副作用が出る可能性もあります。
治癒過程で患部やその周辺に副作用が起こる場合がある
尖形コンジローマが治りつつある証拠でもあります。
かゆみや痛みなどの副作用が強い場合には、石けんで患部をきれいに洗い流して、直ちに医師の診断を受けるようにしましょう。
陰部への塗布では場合によって排尿困難になる場合がある
特に女性の場合、誤って膣口や尿道口に塗ってしまうとしみて強い痛みや腫れなどの副作用が生じる場合があります。
そのため、この部分の治療では特に気を付けて尖形コンジローマだけに塗るようにしましょう。
治療中は性交渉はなるべく避けること
尖形コンジローマは特に感染率・再発率の高い性感染症です。
コンドームをして性交渉をすることは有効ではありますが、ヒトパピローマウイルスが陰茎以外に存在していれば感染する可能性があります。
また、ベセルナクリームの成分には、コンドームの原料であるラテックスゴム製品の品質を劣化させる作用があります。
そのため、少しでも薬がコンドームに付着すると破損する可能性があり、感染させる危険性があります。
治療薬を塗った状態で性行為を行わないこと
性行為によってパートナーの皮膚や粘膜にベセルナクリームが付着すると、その部分に赤みやただれ、かゆみなどの副作用が生じる危険性があります。
従って、治療薬を塗ったままで性行為をするのは避けましょう。
塗布部分を日光に当てないようにすること
患部に塗布した後、誤って日焼けしやすい部分に治療薬が付いてしまった場合、その部分が日光にさらされることで発疹や水ぶくれ、強い日焼け状態など、一般的な副作用よりも強い症状が起こることがあり、これを光線過敏症反応と言います。
そのため、もし誤って患部以外の皮膚に付けてしまった際には、直ちに石けんで治療薬をきれいに洗い流す必要があります。

ベセルナクリームの起こり得る副作用

ベセルナクリームで起こる副作用としては、患部に強いかゆみや痛み、皮膚の表面の赤みやただれ、潰瘍、皮膚剥離などの外的副作用が多いです。
また、誤って日焼けしやすい部分にクリームが付着し、洗い流さずに日光に当たってしまうと、光線過敏症反応を起こしてその部分だけが強い日焼け状態になってしまうことがあります。
この状態になると発疹や水ぶくれなどができて強い痛みを生じることになります。

ベセルナクリームの保管方法

ベセルナクリームの保管方法としては、25度以下の冷暗所で保管します。
ただし、凍結するような場所を避けましょう。
また、スムーズに治療が進み、医師の診断で治療を止めて薬が余った場合には、保管せずに破棄するようにしましょう。
尖形コンジローマは再発率の高い性感染症であるため、再発した場合に使用すれば良いと余ったベセルナクリームを保管してしまいがちですが、薬にも使用期間があるため自己判断で保管するのは避けましょう。
間違った使い方をすると効果が出ないだけでなく、さらに副作用を招く危険性があります。

尖形コンジローマの場合、治療によってイボが無くなってもウイルスは潜んでいる可能性があり、イボが完全消失しても3ヶ月以内に約25%の確率で再発すると言われています。
そのため、医師の診断で治療を終了しても、その後3ヶ月程度は再発していないか確認しましょう。